素朴でしなやかな味わい、阿闍梨餅

2017年3月25日
 日本橋三越の和菓子売り場では、全国の有名和菓子がいとも簡単に手に入れることが出来る。かねてより欲しかった、仙台九重本舗の霜柱、長野開運堂の真味糖、島根の松平不眛公ゆかりの茶菓子などなど・・・夢のような世界だ。
 京都の有名菓子もたくさんあり、なかでも阿闍梨餅が個包装から購入できるのには驚いた。阿闍梨餅とは、京都の菓子店満月が大正時代につくりはじめた菓子だ。餅粉をベースにした生地を皮とし、粒あんを包んだ素朴な菓子。今では京都みやげの定番となっているようだ。ややもっちりとした皮、控えめな甘さの粒あん。このたび初めていただいてみたが、小さめの菓子だから、ひとつ、またひとつ、と手が伸びてしまうような美味しさだ。素朴ながらも後を引く美味しさ。
 比叡山で修行する高僧がかぶっていた編み笠の形、そして厳しい修行に耐えるとき食した餅からイメージして創作されたとのこと。千利休はその昔、ふのやき、というごく素朴な菓子を茶会で多用したという。小麦粉を水で溶き、焼いた皮に、胡桃と味噌餡を包んだものを手作りして茶会に出したとか。戦に、政治にと疲れた人々をもてなすほっとした味。材料は異なるが、阿闍梨餅の素朴な味わいは、このふのやきに近いのではないだろうかと感じた。素朴ななかに、ほっとさせる甘さと柔らかさ。信念を持ちつつ苦行をこなし、周囲の人々を寛がせる。そんなしなやさをこの菓子から感じた。

阿闍梨餅

テーマ : スイーツ
ジャンル : グルメ

宮中雑煮 初釜の菓子、花びら餅

2017年1月16日
 お正月吉祥の菓子といえば、花びら餅だ。薄い餅で白味噌餡、薄紅色の餡を半月様に包む上品な菓子。ゴボウの甘煮を挟んでいる。裏千家の初釜で用いられる、正月限定の和菓子だ。今年は3日の初釜で先生が用意したものを、そして13日に水戸の老舗和菓子屋で購入したものをいただいた。いずれも柔らかく、甘いゴボウが不思議な味わい。抹茶と共に、静かにいただいた。
 京都、宮中でいただく雑煮に見立てた茶席の菓子。東北生まれで粗野な私は、関東に出て茶道を習って、初めてこの菓子の存在を知った。ゴボウはやはり宮中行事、歯固めに使う固い押し鮎を模したものだそう。何から何まで典雅な由来である。正月の菓子といえば、田舎の祖母や伯母がつくるずんだ餅しか知らなかった。だから、花びら餅をいただくときは、なんだかとてもかしこまった気持ちになる。
 求肥で出来た白い餅は、柔らかい。薄紅色の餡が透けて見えるのも、重ねの色合わせ、桜重ねのようで、やはり高貴な感じ。典雅なお正月気分を味わう、2017年の睦月である。
 

花びら餅

テーマ : 和菓子
ジャンル : グルメ

銘菓 日の出前

2017年1月4日
 今、一番のお気に入り和菓子、日の出前。初めて出会ったのは、島根の足立美術館を訪ねたとき。館内の茶室で頂き、自宅用にも購入したのがきっかけだ。皮むき餡を実に丁寧にさらしてつくっている。しっとりと上品なお味だ。甘さも控えめなのが私好み。紫がかった薄い小豆色の生地に、たったひとつの小豆粒の断面が見える。この様子もまた上品だ。
 名は、陶芸家、河井寛次郎がつけたという。1月の日の出前の空は、うっすらと紫だからということで。そんなエピソードもまた、菓子への愛着を強める。初めて食べたときから気に入り、今回ネット通販で自宅に届いた。松江の老舗、三英堂の製。
 夜明け前の空は、一番闇が深くなるとも言う。そこに太陽が昇るとき、この紫だちたる色合いの空に変わるのだろうか。年が明け、新たなことへの挑戦が待つ日々に、なにやら希望を見いだせるような気持ちだ。しみじみ美味しく、味わい深かった。

日の出前

テーマ : 美味しいもの
ジャンル : グルメ

日本の美意識がいきる 和菓子たち 

2016年12月23日
 今年、見事にハマったモノ・・・それは和菓子。茶道の稽古を再開してから、先生のお宅で美味しい和菓子をいただくようになり、こと食べることには研究熱心な私は、旅先でその土地の和菓子を探求し、買いあさっている。上品な甘さ、和の色あい、そしてお抹茶や日本茶によく合う菓子。名前や由来を聞くと、歴史や文化の香りも高く、一口一口が味わい深い。今年、美味しかった和菓子についてまとめたい。

松江和菓子 やまかつら 松江の著名な茶人、松平不眛公生誕250周年を記念して作られた菓子。若草色のそぼろと小豆の粒がポイントの羊羹、中心に薄く黒糖餡という、贅沢な構成の、薄茶によく合う和菓子。鳥取の学会会場で販売していた。
彩雲堂 やまかつら
大分 雪月花 薄い最中皮に柚子餡が挟まれた、上品な銘菓。大分出身の画家、福田平八郎による包装紙。鮮烈なまでの柚子の香りが素晴らしい。
雪月花 大分
鎌倉 こまきの生菓子 光琳菊  美鈴の生菓子 秋の菊を琳派風のデザインで模様づけ。柿は実物そっくりの愛らしさ。
こまき 光琳菊 美鈴 柿
仙台 杜の香本舗 秋の干菓子と生菓子 もとグラフィックデザイナーという店主さんの美意識が生きる、ハイセンスな菓子。
森の香本舗 秋の干菓子 森の香 生菓子

 もっとたくさんいただいた。洋菓子も華やかで美味しいが、和菓子は日本の自然や歴史を感じさせ、ほっと寛ぐ美味しさ。ますますハマっていきそう・・・。どんどんダイエットから遠ざかる日々だ。

テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

サザンカ、炉開きに向けて

2016年11月5日
 仙台のお土産を届けに、お茶の先生宅を訪問した。「ほほえみ」という名の、森の香本舗の可愛らしい菓子。こちらもお抹茶と季節のお菓子をご馳走になり、しばしおしゃべりを楽しんだ。先生自慢の日本庭園は、冬に向けてさっぱり、しっとりとお手入れされている。
 薄紅色のサザンカの花が開花していた。そう告げると、たくさん切ってくださった。一輪を家にあるガラスのコロンとした花器に飾った。堅いつぼみが、一日ごとにゆっくりと開いていく。
3日
サザンカ蕾
4日
サザンカほころびはじめ
5日
サザンカ全開
 開くかな・・・と心配していた堅いつぼみが、あたたかく美しい笑顔を向けるかのように、ゆっくりと開花した。
 11月は茶道の世界では炉開き、お正月のような祝いの月だ。生命の歓び、植物の美しさを感じながら、日々粛々と生きていく。サザンカの開花、しみじみ美しかった。

テーマ : ガーデニング
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

bordeauxlyon

Author:bordeauxlyon
のびやかな筑波山の麓に在住。ガーデニングとワイン、旅が生きがい、そして趣味は美術館巡りと短歌です。
美しい花や自然、アートに満たされた日々で、心地よい豊かな日々を過ごしたいと思っています。
花と画家のなかでも大好きなクレマチス、マティスを冠して、日々の暮らしについて語ります。

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