矢車菊の思い出

2014年6月12日
 庭の矢車菊が最盛期をやや超えた感じである。ここ数日の大雨で繊細な茎がへこたれ、地面に花共々くっつきそう。それでも花がらをこまめに摘んでいると、次々に美しい青い花を咲かせていく。花びら一枚一枚は細長くも透明感のある美しい青。秋に庭全体にばらばらと種まきしたものが、あちこちで今青く咲いている。
 矢車菊は、丈夫な一年草だ。子どもの頃、初めて蒔いた花がこの矢車菊だった。宮城では6月にようやく咲き始めたように記憶している。わくわくしながら開花を待ったものだ。
 矢車菊がようやく咲いた1978年6月12日、マグニチュード7.4の宮城県沖地震が発生した。同級生がブロック塀の下敷きになって死亡するという惨事だった。愛犬もこの揺れに大慌てして、矢車菊の植わっている花壇に入り、ぐるぐると歩き回った。繊細な茎は全て犬に踏みしだかれ、青い花も土にまみれてしまった。哀しかったが、愛犬の恐怖心も理解できたので、二人で抱き合って慰め合った。
 「70年生きているがこんな大地震は初めてだ」私たちを救済にきた祖父が言った。それ以来、私は大地震にはもうあわないだろうと思っていた。勝手な思い込みだった。まさかもっと大きい地震が再び故郷を襲うとは・・・茨城も大変な被害を受け、職場は県内はもとより福島の人々を救うための戦場のような場所へと変化してしまった。不眠不休の日々が続き、心身共に辛かった時期だ。両親との連絡も途絶えたままだった。そんななか仙台出身の人と宮城県沖地震の話を共有したことは、安らぎの一つだった。
 矢車菊の青を見ると安らぎつつも大地震の経験が思い出される。踏みしだかれても頑張って生きていかなければならないと強く思う。
 
 

矢車菊201465

テーマ : ガーデニング
ジャンル : 趣味・実用

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bordeauxlyon

Author:bordeauxlyon
のびやかな筑波山の麓に在住。ガーデニングとワイン、旅が生きがい、そして趣味は美術館巡りと短歌です。
美しい花や自然、アートに満たされた日々で、心地よい豊かな日々を過ごしたいと思っています。
花と画家のなかでも大好きなクレマチス、マティスを冠して、日々の暮らしについて語ります。

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