トルコの青と銀細工

2014年8月27日
 横浜みなとみらいの路上で、トルコのアクセサリーを売っていた。トルコはいつか旅したいあこがれの国、特にイスタンブールには必ず訪れたい。ブルーのモスク、ボスポラス海峡の黒ずんだ海の青、そしてなんといってもトルコ石の明るい空のような青。色、特に青色に関心がある私は、トルコの様々な青色にも惹かれている。
 じっくり眺めていたらトルコ石と銀細工を組み合わせたネックレスが目に入った。青みが濃いトルコ石を精緻な銀細工が囲んでいる。トルコから来たという青年が、もうこんな銀細工を作ることができる職人はそんなにいないのだと言う。約7千円と路上で買うには高価だったが、悩んだ末に購入してしまった。
 折しも、昔読んだ小説「聖マルコ殺人事件」(塩野七生 朝日新聞社 1988/「緋色のヴェネツィア」朝日文芸文庫)を読み返していたところだった。この中には、16世紀にオスマントルコ帝国を治めたスレイマン大帝やその宰相イブラヒム、愛妾から皇后になったロッサーナ(ヒュッレムという別名前もある)が登場し、ヴェネツィア人の主人公達と交流するエピソードがある。最近読み返してトルコへの想いを高めていたときだったので、この青い石のネックレスと出会ったことが妙に嬉しかった。
 トルコ人青年にそんな話をした。「トルコで一番いい時代ですね」そう言われた。スレイマン大帝は法と秩序を重んじた賢帝として有名だ。そんな賢帝も通例を破り(トルコ皇帝は結婚しない決まりだった)ロッサーナと結婚し皇后にした。ハレム・トルコ宮廷は大混乱したという。古今東西の歴史では、どんな賢明な君主も女性との関係が国を動揺させることがしばしばだ。
 ネックレス部分はイタリア製の銀だという。物語だけでなく、ネックレスもトルコとイタリアが繋っていた。そんな偶然もまた楽しく、最近毎日装着している。瀟洒な花模様の青いネックレスを見ると、遠い昔のトルコの恋物語を思わずにはいられない。ちなみにトルコ石は、現在のトルコでは産出されない石だ。オスマンの時代にトルコの版図であったアフリカから採石され、イスタンブールから十字軍を経てヨーロッパに運ばれたことが、「トルコ石」の名の由来である。そんなエピソードも歴史好きとしては楽しい。
トルコ石のネックレス

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Author:bordeauxlyon
のびやかな筑波山の麓に在住。ガーデニングとワイン、旅が生きがい、そして趣味は美術館巡りと短歌です。
美しい花や自然、アートに満たされた日々で、心地よい豊かな日々を過ごしたいと思っています。
花と画家のなかでも大好きなクレマチス、マティスを冠して、日々の暮らしについて語ります。

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