ギエムのボレロ ~東京バレエ団50周年記念公演~

2014年8月31日 
 昨夜、渋谷で東京バレエ団50周年記念公演をみた。マラーホフ、マニュエル・ルグリ、そして最近引退宣言をしてNHKのニュースにもなったシルヴィ・ギエムなど、往年のスターダンサーのガラコンサートだった。大満足の約4時間だった。
 公演に先立ち、この50年の歴史を様々な映像と写真で紹介された。最近は有名なバレエコンクールで日本人が活躍する様が話題になるものの、ここまで日本のバレエ文化が成熟するには様々な困難があったことと推察された。多くの人々のバレエにかける情熱が今の豊かさに結びついているのだろうと思うと、ただの鑑賞者にすぎない私でも感無量の思いになった。
 マラーホフやルグリらスターダンサーの豊かで優雅な技にも魅了されたが、東京バレエ団の方達の技にも大きな感動を得た。正確で丁寧なパには、毎日の鍛錬が基礎になっていることが容易に想像できた。細やかなステップ、群舞の和を大切にした緻密な動き、そして上野水香さん始めとする日本人スターダンサーのアラベスクやジュテ、ピルエットは華麗で美しかった。日本人ダンサーの、正確で美しく調和をはかった舞台にうれしくなった。
 そして圧巻はなんといってもギエムのボレロ。タンタタタタンタタタ・・・と繰り返されるラヴェルのリズムに、暗闇からしなやかに動く身体。静かで単調な動きから、やがて激しくも柔らかな動きへと変化していく。物語があるわけでもないので、鑑賞する各人がそれぞれに「何か」を感じていくのではないかと思う。私は繰り返されるリズムが、ひとの身体機能、たとえば心臓の鼓動であったり、あるいは毎日繰り返される当たり前の習慣の象徴のように感じられた。それが時間の経過、人生の流れと共に変化していく。当たり前の単調なことの繰り返しであっても、全ての人にとって人生は単調でつまらないものではなく、激しくエネルギーに満ちあふれたもの・・そんなことを感じた。喜怒哀楽やストーリーが含まれているわけでもないこのバレエ、ギエムと多くの群舞ダンサーから発せられる情熱と引力に引き込まれ、最後はなぜか涙がでて鳥肌がたった。観客が総立ちになる最後だった。
 大人バレエを続けている友人と、興奮冷めやらず感動を分かち合った。50年記念のポスターには、バレエに情熱を傾けてきたダンサーや振り付け師、海外公演の写真がたくさん並べられていた。踊れるわけではないが、一ファンとしてこれからもバレエを大切に愛していきたい。そう思って、友人といつかパリのオペラ座に一緒に行く約束をした。

東京バレエ団50年記念ポスター

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
にほんブログ村

テーマ : バレエ
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

bordeauxlyon

Author:bordeauxlyon
のびやかな筑波山の麓に在住。ガーデニングとワイン、旅が生きがい、そして趣味は美術館巡りと短歌です。
美しい花や自然、アートに満たされた日々で、心地よい豊かな日々を過ごしたいと思っています。
花と画家のなかでも大好きなクレマチス、マティスを冠して、日々の暮らしについて語ります。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
フリーエリア
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR