梨の味、移り変わり

2014年10月1日
 秋も深まり、季節の果物が本当に美味しい。晩夏から我が家の食後デザートは梨だ。茨城は梨の生産量が日本有数であり、自宅から車で30分ほどのかすみがうら市では、この時期、梨農家がお買い得で美味しい梨を直売している。
 数年前に偶然見つけた梨直売所は、いつも元気いっぱいの奥さんと、梨作りに真摯に向き合っているご主人、そしてはにかみながら二人を手伝う小学生の娘さんが営んでいる。こちらの梨、甘くてジューシーで、味が濃く、本当に絶品なのだ。畑のそばに設置された小屋では、必ず試食の梨と麦茶が振る舞われる。そして時期毎に異なる品種の梨の味比べを楽しめる。一かご山盛り数百円で売っていて、梨が大好きな夫は毎週2かごくらい買う。すると奥さんがテーブルの向こうから「これ、売り物じゃないちょっと傷が入ったものだけど、食べて!」と、さして売り物と変わりない梨を袋いっぱいに詰めてよこす。時々それは柿や野菜に変わる。美味しいのはもちろんなのだが、こんなプレゼントが嬉しくて、毎週わざわざ30分かけて買いに行く。減農薬、肥料の質にもこだわっているらしい。
 一昨年、このご一家が職場の先輩Oさんの同級生ということが判明した。「○○ちゃんは独り者だけど、しっかりかせいでっから~。昔からしっかり者なんだけど、なかなか結婚しねえなあ~。もう無理だな~、独りでマンションなんて買っちゃって」同級生同士でご結婚されたという梨農家のご夫婦が、先輩Oを豪快に笑い飛ばして言う。Oさんがやはり仲間のおひとりさま数人で、同じ棟のマンションを購入したことを知っている私は、思わず肯定せざるを得ない。こんな話をしてから、ますます梨が美味しく感じられる。幸水、豊水、そして今は新高(にいたか)、もう少ししたらにっこり、筑波という品種に変わるだろう。   
 今年の梨の買い物は少し趣が変わった。元気いっぱいの明るい奥さんが、病気とのことで直売所に姿を見せない。ご主人と娘さん、お手伝いの親戚の方が、明るく販売してくれてはいる。だがやはり、少し甲高い声の明るい奥さんがいないのが寂しい。Oさんが私からのメッセージをメールしてくれるといったが、一月経ってもまだ奥さんは顔を見せない。梨の甘さにちょっぴり寂しさをも感じつつ、三食食べ続けている秋。早く戻ってきて欲しい。奥さんの梨自慢が聞けないと、週末の梨購入が楽しさ半減だ。

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なし 新高

テーマ : 果物・フルーツ
ジャンル : グルメ

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Author:bordeauxlyon
のびやかな筑波山の麓に在住。ガーデニングとワイン、旅が生きがい、そして趣味は美術館巡りと短歌です。
美しい花や自然、アートに満たされた日々で、心地よい豊かな日々を過ごしたいと思っています。
花と画家のなかでも大好きなクレマチス、マティスを冠して、日々の暮らしについて語ります。

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