東京博物館で新年 松林図屏風

2015年1月5日
 年始の連休最終日、上野の東京博物館に出かけた。長谷川等伯の「松林図屏風」をみるためである。3年前からこの国宝をみるのが、正月の行事となっている。毎年必ず展示されるわけではないようだが、たまたま3年前の正月に展示会をみて、その直後に安部龍太郎著「等伯」が直木賞を受賞、その後今年まで連続で展示会が催されている。
 みるたびに、震えるような感動に襲われる。そしてみるたびに少しずつ違う印象を得る。長谷川等伯は、息子に先立たれ、その哀しみのなかこの名作を描いたという。昨年は、この松林の中に慟哭をみた。今年は静かな寂寥に胸を突かれつつ、抑圧された激しい感情をみた。全体にもやがかかるようなぼうっとした中に、確かに存在する木々。水墨画という単純な色彩の中に、なぜこれだけ複雑な、だけど静かで深い哀しみを感じるのか。さりとて絶望はない。生きることの無常、寂寥や悲嘆のなかにあってもただひたすら生きていく、そんな在り方を感じた。大切な人の死を経験して、等伯は日々どのような思いで生き抜いたのだろうか。
 たくさんの人が無言の中で感動に打ち震えていたような気がする。私も涙が出てとまらなかった。
 
松林図屏風

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テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:bordeauxlyon
のびやかな筑波山の麓に在住。ガーデニングとワイン、旅が生きがい、そして趣味は美術館巡りと短歌です。
美しい花や自然、アートに満たされた日々で、心地よい豊かな日々を過ごしたいと思っています。
花と画家のなかでも大好きなクレマチス、マティスを冠して、日々の暮らしについて語ります。

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