佐藤忠良さんの彫刻

2015年2月10日
 宮城県立美術館で佐藤忠良記念館を歩いた。佐藤忠良さんは、宮城県出身の彫刻家である。素朴で力強く、生き生きとした人物像を多く造った方だ。
佐藤忠良そとの彫刻
 昔はあまり好きになれなかった。ありふれたように思える表情、簡素な薄い衣服に身を包んだ人物たち。古代ギリシアの彫刻のような優美さはないし、ロダンのような情感あふれる彫刻とも違う。佐藤忠良さんの造る彫刻たちは、あくまで簡素で淡々と佇んでいる。
佐藤忠良 若き日の詩 白石蔵王駅前  東北新幹線白石蔵王駅前 「若き日の詩」

 それでも佐藤忠良さんの作品に心ひかれていたのは、直接お会いしてインタビューするという貴重な体験があったからだ。故郷宮城県白石市の駅前に、忠良さんの彫刻が造られ、それを記念して地元高校生である私達がインタビューするという企画があった。市民会館の一室で、同級生数名とともにインタビューした。その頃は佐藤忠良さんの名前はよく知らなかったし、インタビューも企画した大人たちが作成した質問を読み上げ、彼の答えをひたすら傾聴するという形だった。それでもちょっとしゃがれた声で語られる芸術論や生い立ち、娘さんである女優佐藤オリエさんの話は、魅力的だった。最後に握手もしてもらって、そのごつごつとした大きな手の温かさも感じた。貴重な体験だった。
在りし日の佐藤忠良さん  1980年代某日の佐藤忠良さん
 年を経たこの日、たくさんの忠良作品をじっくりと眺めた。どの作品も、相変わらず簡素なポーズや衣服。だが、いずれにも言葉で表現しがたい生命力を感じる。素朴で簡素な人間像である故に、ひたすらまっすぐに生きていくような静かな存在感を感じた。やっぱり素晴らしい彫刻家なのだと、改めて感動した。
 忠良さんは、文化勲章の候補者に何度もなったが、「職人に勲章はいらない」と辞退を続けたということだ。そんな一本気なエピソードも、直接対話できた数十分から感じた人間性や、作品から感じる清廉さと全く違わない。ぶれなく生きるひとの、生命力あふれる作品。ますますファンになった。

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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:bordeauxlyon
のびやかな筑波山の麓に在住。ガーデニングとワイン、旅が生きがい、そして趣味は美術館巡りと短歌です。
美しい花や自然、アートに満たされた日々で、心地よい豊かな日々を過ごしたいと思っています。
花と画家のなかでも大好きなクレマチス、マティスを冠して、日々の暮らしについて語ります。

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