2014年5月9日
茨城は快晴。ゆっくりと朝日に輝く庭を巡り、植物たちを眺める。我が住宅街はウグイスや雲雀、時々なんとキジの声もするという豊かな土地である。空も青く、気温も温かくて幸せなひとときを送ることができる。
5月も半ばに近づき、落葉樹は日々新芽を伸ばして生長している。常緑樹も緑が冴えて美しい。私はリラ、イロハモミジ、ピラカンサを最初に造園業者に植えてもらい、その後自分で梅、ジューンベリー、オリーブ、シマトネリコ、ミモザ、エゴノキ、ハイビャクシンやアリゾナイトスギなど高木を植えた。ユキヤナギ、アジサイ、種々のバラ、ジンチョウゲ、シモツケ、月桂樹、ユズなどの中低木も植えている。小さな庭なのにたくさんの樹木がひしめいていて、夫からはもう木を植えないようにと厳しく言われている。どの木も葉の色や形、芽吹き方、香り、生物としての強さがそれぞれであり、愛しい。
この季節、殊更に緑色の多様さに心ひかれる。緑色の名前もいろいろだ。萌黄、裏葉柳(うらはやなぎ)、海松色(みるいろ)、千歳緑(ちとせみどり)など、日本の色名はどれも草木を彷彿させて魅力的である。古代より緑色は生い茂る草木の生命力、命の糧、豊穣を現す色で、・・人間の心理的な安定を保つ、豊かな存在の色(コロナブックス平凡社編 日本の色 2006)である。一方フランスの色名でも「ブルジョン Bourgeon」とは芽を出すという意味の、新芽の春の光に輝く淡い緑色をさす(コロナブックス平凡社編 フランスの色 2010)。やはり豊穣や休息を示す色であるが、ヨーロッパの緑というと多産や幸せを示すため女性が緑色の服で装う西洋絵画を思い出す。たとえばヤンファンエイク(下、写真は「城一夫他 色で読み解く名画の歴史 パイ・インターナショナル 2013」より拝借)。この絵はちょっぴりミステリアスな雰囲気があり、緑色が単純に自然の豊穣や女性の幸せのみを示すわけではないような思いにとらわれる。

ともあれ、我が庭の緑はもっと単純に美しい。数日の天気でやや乾燥していたので、たっぷりと水をまいてあげた。こころなしか木々は嬉しそうにみえる。水がかかったからなのではあるが、ゆらゆら揺れる姿は「わあい。気持ちいい」と呟いているような錯覚をもたらした。虹も登場して狭い我が庭はしばし喜びと幸せに包まれた。

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テーマ : 樹木・花木
ジャンル : 趣味・実用